朝3時。まだ外は夜の名残が濃く、街灯の光だけが静かに道路を照らしていました。そんな時間にエンジンをかけ、御殿場へ向けて仕事が始まります。大型トラックのドライバーという仕事柄、早朝出勤は慣れているはずなのですが、この季節の冷たい空気と暗い道は、いつもとは違う緊張感を与えてくれます。
最近の高速道路は大規模工事が続き、車線規制による渋滞が慢性化しています。いつも通りの時間に出ても、いつも通りに走れるとは限らない。それをわかっているからこそ、時間に余裕を持って家を出るようにしています。
本当は、家でゆっくりとコーヒーを淹れ、一日のスイッチを入れる“朝時間”を大切にしたいのですが、この時期はなかなかそうもいきません。この日も、いつものコーヒー時間を諦め、出勤前に買ったホットコーヒーを片手に出発しました。紙カップから伝わる温かさに少しだけ心がほぐれましたが、それでもやっぱり、落ち着いた場所でゆっくり味わうコーヒーが恋しくなります。
■ 静岡SAでの30分休憩、朝焼けと富士山
途中の静岡SAでは、430を消すための30分休憩を取りました。トラックを止めて外に出ると、空はちょうど朝焼けから少しずつ明るさを増し、澄み渡る青へと変わっていく最中でした。夜明けの空が移り変わる瞬間は、何度見ても心が洗われるような気持ちになります。
静岡の空には少し冷たさが残っていましたが、その分だけ空気が澄んでいて、吸い込むたびに気持ちがリセットされるような感覚がしました。
そして何より印象的だったのが、この日の富士山です。
雪化粧をまとった山肌は、朝日に照らされて輝き、まるで白いベールをかぶったように上品で凛とした姿でした。6合目付近には薄く雲が流れ、富士山の大きさと神秘さをより際立たせている様子に、思わず見入ってしまいました。
仕事の途中ということもあり、写真は撮れませんでしたが、「これは今日見られて良かった」と心から思える風景でした。あの瞬間の富士山は、確かに目の前にあったはずなのに、気がつけば心の中にそのまま焼き付いていました。
ドライバーという仕事は、忙しくて余裕のないときもありますが、こうした一期一会の風景に出会えることも、大きな魅力だと改めて感じました。
■ 道中の緊張と、“無事に帰る”という当たり前の大切さ
高速道路の工事や渋滞は、時間と気持ちの両方を奪います。焦ってしまいそうになることもありますが、そんなときこそ落ち着いて、普段以上に安全運転を心がける必要があります。
特に大型車は、周囲の車よりも圧倒的に車体が大きく、重量もあります。そのぶん何かあれば大きな事故につながりかねないため、「無事に帰る」「安全に届ける」という当たり前のことが、実は一番大事です。
この日も、途中で渋滞に巻き込まれたり、予定より時間を取られたりと、決して楽な運行ではありませんでした。しかし、焦らず冷静に判断しながら走りきれたこと。そして無事に仕事を終えられたことに、心からホッとしました。
ドライバー歴が長くなっても、「無事に終えられた」という瞬間には、いつも小さな達成感があります。それは仕事に慣れてしまった今だからこそ、より感じられるものなのかもしれません。
■ 今日も仕事を楽しめている自分がいる
慌ただしい一日でしたが、終わってみれば「今日も良い一日だった」と思えるから不思議です。
朝のコーヒーが飲めなかったことも、渋滞のストレスもありました。しかし、静岡で見た朝の空、富士山の美しさ、無事に届けられた安心感——それらを積み重ねると、心の中には温かい余韻だけが残っています。
仕事というのは、どうしても「大変だ」「しんどい」と感じることがあります。でも、私は今の仕事が好きです。厳しい日もあるけれど、走っている時間や、景色に出会える瞬間、そして何より安全に業務を終えられたときの安心感は、ほかでは味わえないものです。
そして、そんな日々をこうして文章に残し、誰かが読んでくれることも、私の楽しみのひとつになっています。
明日もまた、ゆっくりと淹れたコーヒーを飲める日も、慌ただしく出勤する日もあるでしょう。それでも、ひとつひとつを味わいながら、これからも安全運行で仕事を続けていきたいと思います。



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