泊まり明けの朝。
体は正直で、少し重たい。それでもコーヒーを淹れながら、頭の中では前々日から温めていた構想がぐるぐると回っていました。曲のイメージだけは、もう形になっている。でも、いざ「文字」にしようとすると、どうにも手が止まってしまう。
もっと整えたい。
もっと深く掘り下げたい。
そう思えば思うほど、指が動かなくなる。経験を重ねても、こういう感覚は消えません。むしろ年齢を重ねるほど、自分の未熟さがよく見えるようになった気がします。そんな朝、ふっと小さなため息が漏れました。
クリスマスイブも、変わらず仕事。
華やかな街の雰囲気とは少し距離を置いて、淡々と横浜までの長距離輸送です。年齢的なこともあって、「メリークリスマス」と口にするのが、どこか照れくさい。若い頃のように、浮かれた気持ちにもなれません。それでも、仕事があること自体はありがたいことだと、ハンドルを握りながら思います。
そんな夜、ふと耳に入ってきたYouTubeライブ。
何気なく流していただけなのに、その中で聞こえてきた一言が、妙に心に残りました。
「明日には、君のところにもプレゼント持っていくよ」
正直なところ、思わず笑ってしまいました。
「いやいや、そんなわけないやろ」と。
期待するほど若くもないし、現実はそんなに甘くない。そう思っていました。
ところが、です。
しばらくして届いた一通のDM。そこには、少人数限定のお食事オフ会へのお誘いが書かれていました。二ヶ月に一度、わずか四名だけが参加できる特別な場。
一瞬、考える間もなく返事をしていました。
「行きます。」
迷いはありませんでした。
お金はかかる。でも、それ以上に「その場に呼んでもらえた」こと自体が、何よりのプレゼントに思えたのです。画面越しではなく、同じ空間で、同じ時間を共有できる。その価値は、今の自分にとってとても大きなものでした。
家に帰ると、妻が腕を振るってくれていました。
ローストビーフに、熱々のグラタン。特別に飾り付けたわけでもない、派手さもない。それでも、どこか心が緩む、あたたかなクリスマスでした。
こうして普通に食卓を囲めることが、どれほどありがたいことか。年々、その重みを感じるようになります。
そして、ふと思いました。
次は自分が、誰かの「場」をつくる番なのではないかと。
これまで支えてくれた人たち、背中を見せてくれた先輩たち。思い切って相談してみると、驚くほどあっさりと「ええよ」と背中を押してくれました。その一言が、どれほど心強かったか。
派手なことはできない。
でも、誰かの心が少し軽くなる場所なら、つくれるかもしれない。
そう思えた今年のクリスマスは、静かだけれど、確かに特別でした。
さあ、やるしかない。
小さな一歩でも、前に進むと決めた夜です。



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