まだ早いが、北の方では雪だより？

滋賀の冬支度が始まり、空気がすっと澄みわたる季節になりました。穏やかな日中の陽気にほっとしながらも、朝晩の冷え込みがぐんと深まると、「ああ、いよいよ冬がやってくるんだな」と実感します。滋賀は四季の移ろいがはっきりしており、冬の気配は毎年のことながらどこか新鮮で、自然と気持ちが引き締まるものです。

この地域では、冬に向けた準備が当たり前のように進んでいきます。12月になると、多くの家庭や車通勤の方々が、スタッドレスタイヤへの交換をすませます。タイヤ交換が終わると、雪落とし用のブラシや、車に積んでおく小さめのスコップを引っ張り出し、「今年もお世話になります」と心の中でつぶやく人も少なくありません。玄関先には雪かき用の大きなスコップを置き、いつでも使えるように段取りしておくのが冬前のルーティンです。

しかし、これは雪が積もる地域では“当たり前”でも、積雪のない土地に住む方にとっては少し不思議に映るかもしれません。たしかに、初めてこうした準備を見ると、「そこまで必要なの？」と驚かれることもあります。でも、ひと冬を過ごせば、その理由は自然と理解していただけるはずです。

というのも、雪国には雪国ならではの“地元あるある”がつきもの。例えば、うっすら積もった雪の下が凍っていて、つるりと滑ってしまったり、車がちょっとした坂道でスリップしたりすることがあります。朝、玄関を出た瞬間に「しまった！」と滑りそうになることもあれば、車がまったく動かず焦ることも。こうした出来事は決して嬉しいものではなく、時には危険も伴います。でも、雪と共にある地域だからこそ、みんな心得たもの。慎重に歩き、ゆっくり運転し、慌てないために早めに家を出る──そんな工夫をしながら冬を乗り切っていくのです。

そして、夕方に突然の大雪が降れば、一気に道路は渋滞へ。これは滋賀の冬の風物詩ともいえる“あるある”です。「今日は帰るのに時間がかかるなあ」とため息をつきつつも、どこか受け入れてしまうのが地元の不思議さ。毎日続くわけではなく、たまに訪れる“冬のイベント”のようなものだからこそ、「まあ今日は仕方ないよね」と笑ってしまえるのかもしれません。

そんな日常の中で、滋賀の冬は実に豊かな表情を見せてくれます。比良山系が雪化粧をする姿は圧巻で、湖面に映る白い山並みは思わず息をのむほど。朝の凍てつく空気の中で見る琵琶湖は、まるで静寂そのものが形になったかのように凛としています。晴れた日の青空と雪景色のコントラストは、冬ならではの美しさで、写真に収めたくなる風景があちこちに広がります。

雪が降る日は移動が大変であっても、そんな自然の美しさに触れることができるのは、滋賀で生活する大きな魅力です。四季がはっきりしているからこそ、季節ごとに気持ちの切り替えができ、日々の暮らしにもリズムが生まれます。冬が訪れるたびに、「ああ、今年もこの季節が来たな」としみじみ感じ、春が来ればその喜びはまたひとしおです。

滋賀の冬は、不便さと楽しさ、厳しさと温かさが入り混じった独特の魅力にあふれています。自然と共に生きるこの土地ならではの季節感を、ぜひ体験しに来てください。寒い朝に飲む熱いコーヒーも、しんしんと降る雪を眺めるひとときも、滋賀で過ごす冬はきっと特別な思い出になるはずです。